矢板明夫氏が警告 “格安新疆交流”は中国の統一戦線工作に利用される恐れ
中国が台湾の若手教師を対象に、台辦系統と台湾側協力者を通じて「両岸青年教師・北疆訪問」プログラムを実施している。
8日間7泊、食費・宿泊費込みで約4000台湾元という破格の費用で新疆交流を募集しており、統一戦線工作(統戦)を目的とした施策ではないかとの疑念が広がっている。
インド太平洋戦略シンクタンク執行長である矢板明夫氏は、この“格安交流”の本当の代償は、中国の対外宣伝や人権問題の隠蔽に利用されるリスクだと警告した。
矢板氏によれば、通常の新疆旅行は5万〜8万台湾元が相場であり、4000元という価格は「誰かが費用を肩代わりしている証拠」で、目的は純粋な交流ではなく、無料招待による好感形成を通じた統戦・認知戦の一環だと指摘。「世の中に無料の昼食はない」と強調した。
中国は長年、台湾に対し「圧力と懐柔」を同時に進める戦略を取ってきた。今回、特に“青年教師”を標的にしている点について矢板氏は強い警戒感を示す。教師は学生の価値観に影響を与える立場であり、少数の教師の認知が変われば、将来的に台湾の若い世代へ波及する可能性があるためだ。
矢板氏は自身の新疆取材経験にも触れた。政府が案内するルートでは、整然とした街並みや民族融和を強調する光景が並ぶが、少し外れればウイグル族の子どもが靴磨きをしたり、花を売って生計を立てる姿が見られるなど、実態は大きく異なるという。
新疆では強制労働や再教育キャンプなどの人権問題が国際社会から長く批判されている。中国が近年、外国人を積極的に新疆へ招待している背景には、こうした批判を和らげる狙いがあるとされる。 矢板氏は台湾の教師に対し、こうした交流プログラムを慎重に見極めるよう呼びかけ、「4000元で得られる8日間の旅は、実は最も高い代償を伴うかもしれない」と警鐘を鳴らした。