中国GDPへの疑問を呈し“封口”された経済学者・高善文氏が死去
公開日:2026年7月21日
中国で政府の経済統計に疑問を呈したことで公的発言を封じられていた著名経済学者・高善文氏が、今月7日にリンパ腫で死去した。55歳だった。
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』は、高氏が昨年、中国の国内総生産(GDP)の実質成長率に疑義を唱えたことが習近平国家主席の怒りを買い、当局が徹底調査を指示し、公の場での発言を全面的に禁じられたと報じた。高氏の死は、中国の言論統制への懸念を改めて呼び起こしている。
高氏は2024年12月、米国のピーターソン国際経済研究所(PIIE)のフォーラムで、中国の実質GDP成長率は「2%程度にとどまる可能性がある」と述べ、政府公表値の約5%とは大きく乖離していると指摘。さらに、北京が掲げる経済再生策の実効性にも疑問を呈した。関係者によれば、習主席はこの発言に強い不満を示し、蔡奇・中共中央政治局常委が対応を主導。高氏はその後、講演活動がすべて停止され、南開大学で予定されていた講演も中止となった。
WSJの中国担当記者・魏玲靈氏は15日、高氏の死去を受け、中国の金融界やSNSで追悼の声が広がっていると報じた。多くの関係者が「中国の経済問題を率直に語れる数少ない学者を失った」と惜しんでいるという。
報道によれば、高氏は発言封殺後に健康が悪化し、2025年末にはステージ4のがんと診断されていた。最終的に病状が進行し、帰らぬ人となった。専門家は、高氏の事例は、中国が不動産危機、地方債務、成長鈍化などの重圧に直面する中で、経済に関する言論統制を一段と強めている実態を反映していると指摘。近年、当局は金融機関やアナリストに「市場信心の維持」や「楽観的論調の強化」を求めており、経済のネガティブ情報に対する統制が強まっていることがうかがえる。