米国が台湾に32%の追加関税 半導体は対象外 公開日:2025年4月2日 トランプ米大統領が4月2日、貿易相手国に対し相互関税を課すと発表し、台湾で当惑が広がっている。国・地域別の関税率は日本が24%、欧州連合(EU)20%、英国10%に対し、台湾は32%。トランプ政権が敵視する中国の34%に近い厳しい水準となった。台湾の行政院(内閣)は3日、「非常に不合理で遺憾」とする報道官声明を発表した。 ■解説 台湾の対米貿易黒字は昨年83%急増し、対米輸出は1114億ドルと過去最高を記録した。しかし報道官声明は、対米貿易黒字の拡大は米国の政策と需要に従った結果であると説明している。まず第1次トランプ政権時の対中ハイテク規制により、中国で活動していた台湾企業が台湾に戻り、台湾から米国への供給が増えたと指摘。さらに人工知能(AI)を中心に米企業の半導体関連の需要が増加しており、それが台湾の対米貿易黒字につながったとしている。つまり、米国の政策に従い、さらに米国経済や安全保障に貢献しているのに、中国並みの追加関税はあんまりだ、というのが台湾側の思いだ。 トランプ大統領は2日の演説で「台湾は半導体を米国から奪った」と主張したが、その半導体は今回、相互関税の対象から外れた。台湾経済の一枚看板である半導体技術を米国製品で代替することが難しいためとみられる。 頼清徳総統は「今回の関税措置には不合理な点がある」としながら報復措置には触れず、閣僚にアメリカとの交渉を継続するよう指示。卓栄泰行政院長(首相)は相互関税で影響を受ける製造業や農業などに補助金を含む総額880億台湾ドル(約3900億円)の支援策を取ると表明した。安全保障面で最大のよりどころである米国との関係を損なわないよう配慮しつつ、台湾経済へのダメージを防ごうと腐心している。