台湾で軍事裁判が復活 中国のスパイ工作に対抗

公開日:2025年3月13日

 台湾の頼清徳総統は3月13日、軍人の犯罪を一般事件と別に裁く「軍事審判制度」を復活させる方針を明らかにした。

中国が台湾の現役軍人やOBをスパイに仕立てる事案が相次いでおり、台湾への内政干渉を防ぐ反浸透法に基づき、中国を「境外敵対勢力」にみなすと異例の表明をした。


 ■解説

 台湾の情報機関・国家安全局によると、2024年に中国のためのスパイ行為で64人が起訴され、このうち現役軍人が28人、退役軍人が15人を占めている。

昨年7月には、退役軍人7人が中国から資金提供を受け、台湾軍幹部の名簿や軍事施設の写真などを提供していたいとして起訴されている。

今年1月には元陸軍中将が国家安全法違反罪で起訴された。中国が台湾に侵攻した際に中国に協力する武装組織を計画し、退役・現役軍人を誘っていたとされる。

 台湾では軍事審判法に基づく軍事審判制度があったが、裁判の透明性などを巡り議論が起き、2013年の法改正で平時の場合は一般の刑事事件と同様に扱うようになった。

軍事審判制度が復活すれば、軍人の利敵行為や情報漏えいなどの軍事犯罪は軍事法院(裁判所)で処理される。