中国外相が訪日 石破首相らに「歴史と台湾問題」強調 公開日:2025年3月21日 中国の王毅外相は3月21日、東京都内で石破茂首相と会談。22日には岩屋毅外相と会談した。中国外務省によると、王氏は石破氏に「日本は歴史と台湾問題に関する重要な政治的了解を確実に履行すべきだ」と述べ、岩屋氏には「歴史を正しく理解すべきだ」と主張した。岩屋氏は台湾海峡を巡り「力や威圧による一方的な現状変更の試み」への反対を表明した。 ■解説 王氏は日本滞在中、歴史認識と台湾問題に繰り返し言及した。トランプ米政権の最大の標的とされている中国政府は、国際的孤立を避けるため日本との関係改善に前向きな姿勢を示しているが、歴史と台湾の問題では一歩も譲らない構えだ。 2月8日の日米首脳会談の共同声明では中国を名指しで批判し、台湾の国際機関への参加に支持を表明。海上自衛隊は昨年9月、他国艦船と共に護衛艦で初めて台湾海峡を通過し、今年2月には単独で護衛艦を通過させている。中国が「独立派」とみなす台湾の頼清徳政権と日米が接近することに、習近平政権は神経をとがらせている。 外相会談で王氏は、元自衛隊制服組トップの岩崎茂氏が台湾行政院(内閣)の政務顧問に任命されたことも提起。不満を表明したとみられる。岩屋氏は「政府として関与していない」と説明した。 今年は中国にとって「抗日戦争勝利80周年」にあたる。日本が中国を侵略した過去の軍国主義への反省を求め、歴史認識に絡ませて「一つの中国」原則の尊重を強調し、台湾問題から日本を切り離そうとしている。