中国の王毅外相は3月7日、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代)に合わせて記者会見し、「日本には台湾独立勢力と通じる者がいる」と主張。

「『台湾有事は日本有事』と吹聴することは、日本が自ら事を構えることになる」と述べた。

 

 ■解説

 王毅外相は、昨年11月15日にペルーで日中首脳会談が行われて以降、日中関係は「改善と発展の前向きな勢いにある」としつつ、日本が台湾問題に関与しないよう強い口調で求めた。

 昨年11月5日の米大統領選でトランプ氏の当確が決まって以降、国際的孤立を避けたい中国は日本との関係改善を図ってきた。

日本人向け短期ビザ免除を再開し、日本産水産物輸入の再開に向けた調整も進んでいる。

だが、今年2月の日米首脳会談の共同声明で、東・南シナ海情勢を巡り中国を名指しで批判し、台湾問題で「一方的な現状変更の試みに反対」との表現が盛り込まれたことに中国側が反発。

2月後半に訪中した日本経済界の代表団の会談相手は、昨年の李強首相から何立峰副首相に「格下げ」した。「米国の『一国主義』に対抗して日本を取り込みたいが、台湾問題では譲れない」という中国指導部の思いが、王毅外相の姿勢からも垣間見えてくる。 

中国の第14期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議が3月5~11日、北京で開かれた。

2025年の国内総生産(GDP)成長率目標は24年と同じ「5.0%前後」に設定。

25年予算のうち国防費は前年比7.2%増で過去最高の1兆7846億元(約36兆5843億円)を計上した。

日本の25年度防衛予算(8兆6691億円)の4.2倍にあたる。李強首相は政府の年間方針を示す政治活動報告で「『(台湾)独立』分離活動と外部勢力による干渉に断固反対し、祖国統一の大業を推進する」と強調した。

 

 ■解説
 政治活動報告では、「アメリカファースト」を掲げるトランプ米政権を念頭に「あらゆる形の一国主義、保護主義に反対する」と主張。

GDPに対する財政赤字率を前年の3.0%から「4.0%前後」に引き上げ、米国との貿易摩擦に対処するため財政支出を拡大し、景気の下支えを図る方針を示した。

 景気が低迷する中でも国防費は経済成長率を上回る伸びを維持し、習近平政権による軍拡路線の継続を明確にした。

政治活動報告では、習近平国家主席が提唱する「新しい質の戦闘力」に初めて言及。

人工知能(AI)やドローンなど中国が優位性を持つ技術に基づく兵器開発や作戦展開に重点を置くとみられる。

 トランプ米大統領が国防次官(政策担当)に指名したエルブリッジ・コルビー氏は3月4日、人事承認に向けた上院軍事委員会の公聴会の書面証言で、「日本はできる限り早期に防衛費を国内総生産(GDP)比で3%以上に引き上げるべきだ」と要求。

口頭の証言では「台湾はGDP比10%に増額すべきだ」と主張した。日本は2027年度に防衛費をGDP比2%に増やす方針。

台湾の防衛費は現在GDP比2.45%で、10%は約4倍にあたる。

 

 ■解説
 コルビー氏は第1次トランプ政権で国防副次官補を務めた。

今回は国防総省ナンバー3の政策担当次官に就任するが、トップのヘグセス国防長官やナンバー2のファインバーグ副長官は国防分野の経験が浅く、コルビー氏が政策決定に強く関わるとみられている。

 コルビー氏は「米国と中国の軍事バランスが急激に悪化した」「中国が台湾を武力統一すれば大惨事になる」と指摘。

日本の防衛費増額が「あまりに遅すぎる」と注文を付け、台湾には米国からの武器供与を加速し、防衛能力を向上するよう求めている。台湾の頼清徳総統は2月に「特別予算で防衛費をGDP比3%以上にする」と表明している。

ただ、立法院(国会)では少数与党のため実現のハードルは低く、米国側の高い要求と共に「内憂外患」の状態が続きそうだ。