中国の王毅外相は3月21日、東京都内で石破茂首相と会談。22日には岩屋毅外相と会談した。

中国外務省によると、王氏は石破氏に「日本は歴史と台湾問題に関する重要な政治的了解を確実に履行すべきだ」と述べ、岩屋氏には「歴史を正しく理解すべきだ」と主張した。

岩屋氏は台湾海峡を巡り「力や威圧による一方的な現状変更の試み」への反対を表明した。


 ■解説

 王氏は日本滞在中、歴史認識と台湾問題に繰り返し言及した。

トランプ米政権の最大の標的とされている中国政府は、国際的孤立を避けるため日本との関係改善に前向きな姿勢を示しているが、歴史と台湾の問題では一歩も譲らない構えだ。

 2月8日の日米首脳会談の共同声明では中国を名指しで批判し、台湾の国際機関への参加に支持を表明。

海上自衛隊は昨年9月、他国艦船と共に護衛艦で初めて台湾海峡を通過し、今年2月には単独で護衛艦を通過させている。

中国が「独立派」とみなす台湾の頼清徳政権と日米が接近することに、習近平政権は神経をとがらせている。

 外相会談で王氏は、元自衛隊制服組トップの岩崎茂氏が台湾行政院(内閣)の政務顧問に任命されたことも提起。

不満を表明したとみられる。岩屋氏は「政府として関与していない」と説明した。

 今年は中国にとって「抗日戦争勝利80周年」にあたる。

日本が中国を侵略した過去の軍国主義への反省を求め、歴史認識に絡ませて「一つの中国」原則の尊重を強調し、台湾問題から日本を切り離そうとしている。


 自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた岩崎茂氏(72)が台湾行政院(内閣)の政務顧問に任命されたことが分かった。

複数の日本メディアが3月21日に報じた。

 岩崎氏は航空自衛隊で戦闘機パイロットを務め、2010年から空自トップの航空幕僚長となり、12~14年に空自出身者で唯一、統合幕僚長を務めた。

 行政院の政務顧問は無報酬で提言を行う非常勤ポストで、名簿は非公開。報道によると、岩崎氏の任期は1年という。


 ■解説

 日本人の政務顧問就任が明らかになったのは、昨年8月に任命された台南市在住の実業家、野崎孝男氏に続いて2人目。

外国人の任命自体が珍しく、自衛隊幹部経験者の登用は極めて異例だ。これまで自衛隊OBが民間人の立場で台湾側とコンタクトを取るケースはあり、岩崎氏も昨年5月の頼清徳総統の就任式に統合幕僚長経験者として初めて参加した。

 自衛隊は近年、米国以外の各国との共同訓練が増えているが、台湾を不可分の領土とする中国の反発を避けるため、台湾軍との共同訓練などはしていない。中国から軍事的圧力を受け続ける民進党の頼清徳政権は岩崎氏の登用を通じて、従来の経済分野だけなく安全保障分野で日本との連携を模索する考えとみられる。

 中国外務省の毛寧報道局長は、岩崎氏の顧問起用を巡り「日本は台湾問題で言動を慎むべきだ」と反発。日本の林芳正官房長官は「公職を退いた一私人の活動について政府がコメントする立場にない」としている。


 台湾国防部(国防省)は3月19日、立法院(国会)で4年ぶりに見直した防衛戦略を説明した。

中国が武力行使に当たるか判断が難しい「グレーゾーン」の行動を繰り返し、台湾軍の対応能力を試していると指摘。

中国軍が演習と見せかけて侵攻作戦に移行する可能性に言及した。


 ■解説

 中国軍が台湾に武力侵攻する場合、空と海から台湾を包囲し、米軍の介入を阻止した上で台湾をミサイルなどで攻撃し、大量の兵士を送り込むことが想定される。

中国軍は昨年5月の頼清徳政権誕生後、台湾を包囲する軍事演習を繰り返しており、台湾側が「威圧慣れ」した際に実際の侵攻が行われる可能性がある。

その際は航空機や船舶の接近を阻止して物資を枯渇させると同時に、通信の遮断も図ると考えられる。

今年1月と2月、中国人が乗った貨物船が台湾海域の海底通信ケーブルを切断する問題が発生。船側は「事故」と主張しているが、ケーブル切断の影響の度合いと台湾側の対応力を試す「グレーゾーン戦術」と見る向きは多い。

 香港紙は、中国の国有系企業が「世界で最も強固な海底通信線や電力線」でも切断できる海底ケーブル切断装置を開発したと報じている。

台湾国防部は今回の防衛戦略で、即応能力を強化する方針を示している。


 4月13日に開幕する大阪・関西万博の台湾館が民間会社による出展であることを明確に示すよう、日本外務省が台湾側に申し入れたと、共同通信が3月16日に報じた。

台湾経済部(経産省)が3月6日の発表文で「台湾は『TECH WORLD(テックワールド)館』の名義で出展する」と説明したことを外務省が問題視したという。


 ■解説

 台湾は博覧会国際事務局(BIE)に加盟しておらず、経済部の外郭団体「台湾貿易センター」の100%出資で設立した民間会社「玉山デジタルテック」が万博に出展。

台湾政府は万博のために約20億台湾元(約90億円)の予算を準備した。

パビリオン名の「TECH WORLD」の頭文字「TW」で「TAIWAN」をイメージさせようとしている。

 日本の報道を受け、台湾の郭智輝経済部長(経済相)は3月20日の立法院(国会)経済委員会で「私は関連の通知は受け取っていない」と説明。

一方で、「他人の家(日本)に招かれる時には、ホストの規定に従わなければならない」と述べた。

 郭氏は「日本側は台日の友情に基づいて台湾を万博に招いた。

これは日本側の非常に大きな誠意だ」と強調し、日台交流に水を差さないよう配慮をにじませた。


 中国が台湾独立阻止のため武力行使することを正当化した「反国家分裂法」を制定して20年となる3月14日、北京の人民大会堂で記念の座談会が開かれた。

中国共産党序列3位の趙楽際・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)や中国軍の劉振立統合参謀部参謀長、王毅外相らが出席し、「祖国の完全統一を実現する」とあらためて強調した。


 ■解説

 2005年に採択された反国家分裂法は、台湾が中国から「分裂」したり、平和統一の可能性が失われたりした場合に「非平和方式」の措置を取ると明記。

当時の台湾では、独立志向の強い民進党の陳水扁総統が再選を果たしており、独立阻止に武力を行使する法的根拠を持たせた。

昨年6月には「台湾独立や分裂を図る行為」は最高刑で死刑とする指針も施行した。

 台湾の頼清徳総統はかつて「私は実務的な独立主義者」と公言していたが、総統就任後は持論を封印。

それでも中国指導部は頼氏を「独立派」とみなして強く警戒しており、頼氏も「中華民国(台湾)と中華人民共和国は互いに隷属しない」といった発言を繰り返している。

頼氏は3月13日には中国を「境外敵対勢力」と断言。

中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室は「独立派がレッドラインを突破すれば、断固とした措置を取らざるを得ない」と武力行使をちらつかせ、台湾に威圧を続けている。


 台湾の頼清徳総統は3月13日、軍人の犯罪を一般事件と別に裁く「軍事審判制度」を復活させる方針を明らかにした。

中国が台湾の現役軍人やOBをスパイに仕立てる事案が相次いでおり、台湾への内政干渉を防ぐ反浸透法に基づき、中国を「境外敵対勢力」にみなすと異例の表明をした。


 ■解説

 台湾の情報機関・国家安全局によると、2024年に中国のためのスパイ行為で64人が起訴され、このうち現役軍人が28人、退役軍人が15人を占めている。

昨年7月には、退役軍人7人が中国から資金提供を受け、台湾軍幹部の名簿や軍事施設の写真などを提供していたいとして起訴されている。

今年1月には元陸軍中将が国家安全法違反罪で起訴された。中国が台湾に侵攻した際に中国に協力する武装組織を計画し、退役・現役軍人を誘っていたとされる。

 台湾では軍事審判法に基づく軍事審判制度があったが、裁判の透明性などを巡り議論が起き、2013年の法改正で平時の場合は一般の刑事事件と同様に扱うようになった。

軍事審判制度が復活すれば、軍人の利敵行為や情報漏えいなどの軍事犯罪は軍事法院(裁判所)で処理される。


 カナダ東部シャルルボワで3月12~14日、先進7か国(G7)外相会合が開かれ、14日に共同声明が発表された。

ロシアがウクライナとの停戦に応じるよう要求したほか、中国を名指しして台湾海峡や東・南シナ海での一方的な現状変更の試みに「反対する」と明記。

昨年の会合では中国への配慮で盛り込んでいた「一つの中国」政策への言及を削除し、「適切な国際機関への台湾の参加を支持」とも表明した。


 ■解説

 共同声明では、これまでウクライナ侵攻を非難する際に使ってきた「ロシアによる侵略戦争」の表現は盛り込まれなかった。

ロシア非難に反対するトランプ米政権との協調を優先した。

ただ、ロシアが占領したウクライナ領の割譲を認めるなどロシア寄りの和平が実現すれば、中国が台湾海峡などで威圧的な行動をエスカレートさせる恐れがある。

会合に参加した岩屋毅外相は「和平のあり方はインド太平洋を含む国際秩序全体に影響を与える。

誤った教訓が導き出される状況が生まれることを許してはならない」とクギを刺した。

 一方、共同声明で中国を名指しで批判したことは中国へのけん制の役割を果たし、台湾の国際機関への参加を支持したことは、台湾を国際的孤立に追い込もうとする中国に対抗する姿勢を示している。


 東日本大震災発生から14年となった3月11日、台湾の頼清徳総統はX(旧ツイッター)に日本語で投稿。

「この14年間、台湾と日本は災害救助、感染症対策など幾多の困難を支え合い、交流を深めてきました」と振り返り、「この強い絆に基づき、今後もパートナーシップを深めたい」と表明した。


■解説

東日本大震災の際、台湾は国・地域別で最大規模の義援金200億円超を被災地へ送っている。

当時は台南市長だった頼清徳氏も2011年4月下旬、台南市と友好関係にあった仙台市を訪れて1億円の義援金を寄贈。

震災後、台湾から被災地を公式に訪れた最初の一行と言われている。

2016年4月に熊本地震が発生した際も、同年6月に熊本県を訪れ約3億円を寄贈している。

台南市ではこの年の2月に117人が犠牲となった大地震が起きており、頼氏は「日本から多くの支援が寄せられたことへの感謝」と話している。

「台湾で最も親日的な政治家」といわれる頼氏は政治や経済の交流だけでなく、日本との「友情」を大切にしている。


 複数の米国メディアは3月10日、米中両政府がトランプ大統領と習近平国家主席の会談の調整を始めたと報じた。

米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は、2人が1日違いで誕生日を迎える6月(トランプ氏が14日、習氏が15日)に米国で会談する可能性を両政府が協議していると報じた。


 ■解説
 「バースデー会談」は互いの誕生日を祝うことで緊張を和らげ、関係改善につなげる狙いだが、実際の調整はまだ初期段階で、何も決まっていないという。

 中国側は首脳会談でトランプ氏と「ディール(取引)」を交わすことで米国の圧力を交わしたい思惑があるが、トランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領の「口論会談」のような事態は避けたいところ。

香港メディアによると、中国側は会談の設定をコントロールできる北京にトランプ氏を招くことを模索。

トップ会談の開催地や時期で両政府の駆け引きが続く。

中国国防相の呉謙報道官は3月9日、台湾の民進党政権について「台湾独立の挑発を強め、米国頼って独立を図り、統一を拒んでいる」と主張。

中国軍は「独立勢力と戦う」とした上で、「近年は台湾周辺での巡視活動や軍事的圧力を常態化させている」と述べ、台湾に恒常的に軍事的圧力を加えていることを公に認めた。

中国で全国人民代表大会(全人代)を開催しているのに合わせて、記者団の質問に応じて発言した。

 

 ■解説

米国で正副大統領に次ぐ地位の下院議長だったナンシー・ペロシ氏が2022年に台湾を訪問して以降、中国軍の軍用機や艦船がひんぱんに台湾の防空識別圏や「事実上の休戦ライン」といわれる台湾海峡の中間線を越えて進入している。

さらに、中国を「最大の敵」とみなす閣僚ぞろいのトランプ米政権と台湾が接近することも中国当局は警戒している。

呉謙報道官は、海外の注目も集まる全人代の会期中に「常態化」を明言し、民進党政権への圧力を強める姿勢を示した。