皆様こんにちは。ご紹介いただきました岩田と申します。

今日、ここ台北の地で、日台連携を強化する話ができる機会をいただき、大変ありがたく思います。主催者の矢板さんが先月、「お前は台湾が好きだろう、台湾に来たいだろう。だったら、軍事と半導体の話をせよ、招待してやる」ということでやってまいりました。

私は元軍人ですので、軍事的に半導体が今どういう位置づけにあるのか、3つの視点で話します。

一つは、ウクライナ戦争を通じて、いかに半導体が重要かが分かりました。2つ目は、そのウクライナ戦争を通じた半導体の争奪合戦。ロシアに半導体を渡す、渡さないという非常に熾烈な戦いが行われています。3つ目は、将来の戦い。もちろん、将来戦争が起こってはいけないんですけども。もしあるとすれば、5年後、10年後に どんな戦争が起き、その時に半導体はどういう位置づけになるのかを話します。

ウクライナ戦争の3年間を通じて、様々な兵器が活躍しました。それを支えたのが半導体です。戦争の初期はロシア軍がキーウ(キエフ)市に流れ込みました。

 その時にウクライナ軍は防衛作戦でアメリカが渡したジャベリン(携帯式対戦車ミサイルシステム)という非常に優れた兵器を使った。歩兵がミサイルを撃つと2500メートルから4000メートル飛んで行って、ロックオンした戦車を上からアタックする。こういうのが役に立ってキーウは守られました。このミサイルの中に半導体が積まれています。

戦争2年目になり、今度はウクライナ東部・南部が攻め込まれるようになると、アメリカからもらったハイマース(高機動ロケット砲システム)を使いました。数十キロ飛んで行って、サッカーコート一面を一挙に制圧するという極めて優れたロケットシステムです。この弾頭にも半導体が入っています。

ここ1年ぐらいは、ドローン対ドローンの戦争になっています。ウクライナもロシアも年間1万機以上のドローンを発射して戦闘しています。ロシアはイランからもらったドローンなんですけども、お互い無人の戦いをしています。この頭のところにも半導体が積まれています。

そして、その戦争全体を支えているのが人工衛星です。衛星を通じて映像を送り通信をしますが、ウクライナ軍が戦う上でイーロン・マスク氏の提供する衛星インターネットサービス「スターリンク」が欠かせない。長距離ミサイルが飛ぶのはGPS誘導になりますので、GPS衛星が活躍している。こういった衛星がなくては、戦争ができません。この人工衛星にも半導体が積まれています。

ロシアが使っているドローンやミサイルには西側諸国の半導体が使われています。様々な西側製、インテル製ですとか、もちろん日本製もあります。西側諸国の半導体でウクライナが攻撃されていた実態がわかってきました。

 軍事や人工衛星に使っている半導体は高性能だと普通、思うかもしれません。しかし、実態は45nmから250Nmの大型の汎用性の半導体が使われています。古い戦闘機ですと90nm、 新しい戦闘機ですと45nmが使われています。人工衛星ですと、もっと高性能だと思うけれど、逆に衛星は大型で宇宙からの放射線を浴びるので、さらに大型で130から250nmというのを使っている状況です。ちなみに、皆さんお使いの携帯電話 iPhone16は3nmですので、いかにこれらが大型でどこでも手に入るというものかがわかると思います。こういう状況で西側の半導体がどんどんロシアに流れていると戦争開始当初からわかりましたので、西側諸国が揃ってロシアに対する半導体の輸出規制を強めました。量子コンピュータも含めて厳しく輸出制限をかけていますけれども、その規制の隙をぬって、ロシアに対して様々な一般の機材も含めて輸出をして助けている国があります。

北朝鮮はこれまでに弾薬を800万発ほど渡すとともに、兵士1万2千人を送り込んでいます。兵士のうち1000人は既に死んでいます。北朝鮮は半導体を作れないので、それ以外でロシアを支えています。イランは巡航ミサイル、弾道ミサイル、ドローンを提供している。今はモスクワの近くに、イランの支援でドローンを作る工場ができています。言うまでもなく、このミサイルやドローンはすべて半導体が動かしています、

 次に、問題は中国の支援です。中国は武器は渡していませんが、半導体や軍民両用の物資をたくさん渡しています。中国は戦争が始まる前の2021年、ロシアに85億円相当の半導体を渡していました。戦争が始まるとその3倍近く、260億円相当の反動体をどんどんロシアに渡して、それがウクライナの攻撃に使われています。

もちろん、西側諸国は中国に対して黙っていません。昨年6月、 G 7首脳会議において中国を名指しで非難した上で、半導体を含めて軍民両面の利用可能な物資をロシアに渡すなという強い声明を出しました。

 それにもかかわらず、中国はロシアと連携して半導体等の輸出をどんどん続けています。いまロシアに届く半導体の89%が中国から渡っています。規制をくぐり抜けて、いろいろな形でロシアに渡すよう中国とロシアが計画をしています。例えば、カザフスタンやアルメニアを通じてロシアに半導体を渡す。規制がかかると、ロシアに対する中国の支援は一旦落ちるんですが、また、違った形、違った国々を使って軍民両用の物品を渡す。このいたちごっこが続いています。

こういう状況を見ると、戦争を起こしている国へ半導体を止めるのは極めて難しいと思います。でも、半導体を作っている西側諸国が連携をして半導体を渡さない努力は続けるしかないと思っています。

最後の項目で、じゃあ今後もし戦争が起こるとしたら、どういう戦争の様相になるのかについてコメントします。

 具体的には、人と兵器が総合したフォーメーションを組む戦争になると思います。空中や海上から、地上のロボット犬も含め、AI(人工知能) チップを搭載した兵器が人の統制を受けながら自律的に戦闘する世界になると思います。アメリカなどが考えている新しい CCA プログラムというのは、人が乗った戦闘機に誘導された無人戦闘機が敵地に入り、偵察、攻撃、自爆という戦闘をする。海ででは人が乗った戦闘艦からドローンで相手に攻撃をかける無人攻撃になっていくと思います。

人工知能を使って自分で判断する兵器が、100機、200機という集団になって襲いかかる。こういう時代になると、半導体が高性能になっていかないとついていけない。新しい戦闘においては、高性能半導体の価値も非常に上がってきます。中国もそうした戦いに備えて、台湾を侵攻できる能力を全面的に作ることを目標にして、軍事力を増強しています。2027年までに完全な近代的軍隊を作るのが中国の目標です。特に、AIを非常に重視しています。

 締めくくりになりますが、将来、戦争に負けないために、そして戦争を抑止するためには次の2つが大事だと思います。これからの時代は軍事のみならず、 民間の世界においても高性能の AIの戦いになります。高性能の半導体とそれを使ったシステム化、まさに「質」の戦いが強く重視されてきます。2番目は「量」との戦い。先ほど申し上げたように、どの国でも作れる汎用型の半導体は量がどんどん出ていって、規制をしても制限できません。私たち西側諸国は負けないためにも高性能の半導体とそのシステム化が重要です。台湾のTSMCを主体に、台湾と日本とアメリカ、この3つの国がしっかり連携を図って生産化を進め、他の国よりも常に一歩先を進む。それによって戦争が抑止できるんだと思います。

私は、台湾と日本は運命共同体と思っています。私は年間で50回、60回と日本の地方を回って講演を続けています。台湾有事は起きてはいけませんが、もし仮に起こった場合、習近平国家主席が統制する権威主義国の手に台湾が渡ることは、日本にとっても絶対あってはいけないんだと強調しています。台湾は単なる隣の国ではない、日本と運命共同体なんだ、台湾がもし中国の手に渡ったら日本の国益上、極めて大きな問題なんだと。

台湾の多くの方々が言われているように、台湾は現状維持がいいんだという。その現状維持をしてくださることが、 日本の国益にもなります。この自由で、民主主義で、人権で法の支配という共通の価値観を持った日本と台湾がしっかり連携をして、第一列島線(日本から台湾、フィリピン、ボルネオ島付近までの中国に対する防衛ライン)をきちっと守っていく。これが台湾のためにもなるし、日本のためにもなる。まさにそうすることが、日本政府としてやることです。私は「日本の皆さん、日本にとっての重要な台湾の価値をわかってください」と強く言っています。台湾の問題は人ごとではなく「日本ごと」であり、自分のことと思ってしっかり考えてくれと日々言っているところです。

 半導体の話に最後戻します。日本と台湾とアメリカが高性能の半導体でしっかり連携する「半導体同盟」を作ることによって、「これじゃあ台湾に攻め込んでも中国は勝てない。侵攻はやめよう」と抑止をする。これが非常に重要だと思っています。半導体のみならず、他方面において日本と台湾が連携をさらに強くして戦争を抑止する。私も微力ですが頑張っていきますので、皆さんともに頑張りましょう。

今日はありがとうございました。

皆様こんにちは。

私は先ほどの岩田先生の講演に非常に感銘を受けました。

彼を見たとき、私は根本博将軍が1949年の古寧頭戦役で台湾にもたらした貢献を思い出しました(根本博は元日本陸軍中将。台湾の国民党政権を助けるため日本を密出国して金門島の古寧頭戦役に参加し、中国人民解放軍の撃破に貢献した)。岩田先生は戦争の重要な場面で半導体の役割について話してくださいました。

台湾積体電路製造(TSMC)がアメリカに1000億ドル(約15兆円)を追加投資することについて、最も気にしているのは誰か。
もちろん中国です。

台湾には多くの中国の協力者がいて、さまざまな形でTSMCをおとしめる発言をしています。
国民党の馬英九・元総統は「賴清徳総統が台湾を売り渡し、重要な技術をすべてアメリカに売った」と批判しています。台湾にいる多くの中国協力者がバッシングしています。

TSMCはなぜアメリカに進出するのでしょうか?
岩田先生がおっしゃった通り、将来の防衛においてTSMCは非常に重要な役割があるため、アメリカはもっと厳重に管理しなければならないのでしょう。

ご存じのように、中国企業のファーウェイ(華為)のチップをアメリカが調査した結果、TSMCのチップがいっぱい入っていました。

中国はシンガポールやベトナムを経由して、NVIDIAのH100(生成AI向けGPU)チップも約5万個手に入れたそうです。

中国はそのチップで生成AI「DeepSeek(ディープシーク)」を梁文鋒氏(ディープシーク創業者)と共にを構築したのです。

これによって、半導体はいかに安全保障と密接に関連していることがわかります。

半導体は国防です。岩田先生のおっしゃった通り、日台関係の基本は安倍元首相が述べた「台湾有事は日本有事」です。

私はそこで「台湾は必ずしも有事が起きるかわからないが、日本は必ず有事になる」と言いたい。この意味はわかるでしょうか。

台湾と中国には深い恨みはありません。唯一の争いは、台湾の主権に関する争いです。

中国は「台湾は中国の不可分の領土」と言っていますが、台湾は受け入れていません。

しかし、日本と中国の間には抗日戦争の時代の深い恨みがあります。

 一方で、台湾人が日本に行くのをどれだけ好むかを知っておいてください。
私たちが日本でタクシーに乗ると、運転手は「どこから来たのですか?」と尋ね、「台湾人です」と答えると、まるで兄弟のように接してくれます。
これが台湾と日本の絆の基盤です。

 1980年代から現在までを振り返って考えてみましょう。
台湾の経済は日本と完全に結びついています。私が1984年に財訊に入ったとき、上司は邱永漢氏(台湾出身で日本を拠点にして「金もうけの神様」と言われた実業家)でした。

彼は毎回日本から帰国する際、私を食事に呼んでくれました。
彼は「現在、日本でどんな産業が成長しているかを注目すれば、2年後には台湾でも同じことが起きるだろう」と話していました。
日本の発展を把握すれば、台湾の経済発展の方向を簡単に理解できました。

1980年代は円も台湾元も対ドルレートで上昇を始めました。これにより株式市場や不動産が急騰しました。
バブル時代の日本を思い出すと、私は銀座で食事を終えた後にタクシーを呼ぼうとしましたが、1万円札を手にしていないとタクシーを捕まえることができない時代でした。
その時期は台湾でも「お金があふれて溺れるほど」と言われましたが、お金が膝からへそ、さらに鼻の穴に達するくらいの状況で、日本と台湾の株価は暴落しました。
1989年に日本のバブル経済が崩壊した後、日本は長い調整期に入ります。

中国はでは1978年から改革開放政策が始まり、1990年代には「世界の工場」と言われ、中国経済は大きく成長していきます。
日本と台湾は同時に「失われた30年」に突入しましたが、いま台湾の経済が日本より強く見える理由は何でしょうか? それはまず、台湾が人工知能(AI)と密接に結びついていることです。

次に、台湾が世界で最も重要な半導体供給国になり、TSMCが台湾の重要な神経中枢、いわゆる「護国神山(台湾の中央山脈の異名)」となったからです。
このため、台湾は持続的に前進できています。これは30年間の中に非常に重要な転換点です。

さらに皆さんに注目していただきたいのは、台湾企業が中国にいち早く進出し、利益を得ていたことです。
しかし中国の状況が悪化し始めたとき、台湾企業は最も早く中国から撤退しました。対照的に日本は今でも多くの企業が中国市場を忘れられずにいます。
したがって日本経済は台湾に比べて転換が遅れていると言えるでしょう。このことが台湾と日本の経済構造の大きな違いです。

 振り返ると、日本の最も厳しい時期はおそらく2011年の東日本大震災の時でした。
安倍晋三氏は2012年に首相の座に返り咲き、最も長く在任する首相となりました。彼が行った重要なことは、量的緩和の金融政策に取り組んだことです。
また、日本の観光産業を積極的に発展させ、世界中から観光客が日本に訪れるようになりました。

 安倍氏の経済政策「三本の矢」は非常に重要でした。
第一の矢は、大規模な量的緩和による金融政策です。第二の矢は国家の財政支出を拡大し、柔軟な財政政策を採用したことです。
第三の矢は、構造的な経済改革を推進し、民間の投資を促すことです。

 バブル崩壊後の30年間で、日本では多くの不動産会社や銀行が破綻し、消費が減少しました。
デフレが深刻となり、安倍政権がインフレターゲットを2%に設定しました。この2%は現在ようやく実現されてきています。
一方で安倍氏は過度な円高を是正し、消費税を引き上げ、さらに日本銀行による公開市場操作を行いました。
公共事業の国債を購入し、長期的に保有する無制限の金融緩和政策を実施しました。

 円安は日本のデフレを解消するために最も重要な戦略でした。
ここ数年、円はだいたい1ドル=150円前後に推移しているので、世界中の多くの人々が日本に観光に行くことを楽しんでいます。
日本では何を食べても美味しくないものには出会わない。そして全国どこへ行っても比較的安全です。これが日本の観光産業を再生させています。

 安倍氏は生前、日本に訪れる観光客を4000万人にする目標を掲げていました。
コロナの影響を受けた後、昨年の日本への観光客は3686万人に達しました。日本は観光大国に変貌しました。
この中で韓国が第1位、中国が698万人で第2位、台湾が604万人です。

 人口比率では、台湾は日本を訪れる観光客が最も多い国です。人口は2300万人で、観光客は600万人を超えているのです。
驚くことに、604万人のうち19%が1年の間に日本を10回以上訪れています。ある人は自宅の台所に行くように1か月に1回日本を訪れ、美味しい料理を楽しんでいるのです。

 私は台湾の中で日本経済が良くなると最初に公言した人間です。
2017年に「日本経済は徐々に良くなり、台湾も継続的に良くなる」と言いました。当時は誰も信じませんでした。
日本のことを低く見積もっていたからです。しかし2020年になり、アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社である三井物産、三菱商事、丸紅、住友商事、伊藤忠商事の株を購入し始めました。
コロナ禍で日本の商社の5%の株式を買い、今に至るまで売却しておらず、さらに追加購入をしています。

バフェット氏は「日本の商社はアメリカと比較しても株主に非常に優しい」と言っています。
日本の5大商社は新株を発行せず、株主の権益が希薄化されないのも大きなポイントです。
さらに、株主には非常に魅力的な価格で自社株を買い戻すことを提供しています。
バフェット氏の投資は世界中の注目を集め、多くの機関投資家が日本への大規模な投資を開始しました。
バフェット氏は2022年3月にTSMCの株も購入しましたが、その後すぐに売却しています。戦争を恐れていたからです。しかし日本の5大商社の株を売ることはありません。
このことから日本に対する投資家の信頼感の高まりがうかがえます。

 日本ではより積極的かつ前向きな改革が始まっています。
東京証券取引所は日本の上場企業に対し、株価純資産比率が1未満の企業には定期的に改善報告を提出させています。
1年以内に改善が見られず、株価純資産比率が1を下回った場合、上場は廃止されます。

かつて日本の上場企業の経営者は非常に消極的で保守的でした。
そのため企業は株価をあまり重要視していませんでした。しかし「改善しなければ、上場廃止」となり、大和証券や三菱UFJ銀行などの株価は急上昇しました。
日本の銀行は以前、全世界の銀行ランキングで30位以下にまで落ち込んでいましたが、三菱UFJ銀行は世界第7位の銀行となり、日本は再び競争において有利な位置に戻りつつあります。

 この30年の間、特に最近の2年間で日本には急成長している産業があります。
岩田先生が言及したように、日本は将来に向けて非常に強力な防衛産業を形成し始めています。
防衛産業を代表する三菱重工、川崎重工、石川島播磨工業(IHI)の株価は上昇しています。

現在、世界中の軍需産業が大きく成長しており、株価も大幅に上昇しています。
ドイツのラインメタル社はロシア・ウクライナ戦争の影響で20倍にまで上昇しました。ただ世界で唯一、台湾の株価だけが上昇していません。
なぜなら最近の政治的な要因、特に「青白連合」が防衛予算を削減しているからです(シンボルカラーが青色の国民党と白色の民衆党の2野党が立法院=国会で多数派を占めており、与党民進党の予算案に反対している)。

自動車業界は注意が必要です。
中国の電気自動車(EV)が旋風を起こし、さらにトランプ政権が自動車に関税をかけることになり、日本にとって大きなプレッシャーとなります。
日本で生き残るのはトヨタ自動車だけかもしれません。トヨタはハイブリッド車で良好な業績を維持し、将来は水素燃料車で重要な役割を果たすことが期待されています。

日本の多くの産業が中国との競争に直面しています。
日本はかつて自動化設備の分野でリードし、最近は産業用ロボットや協働ロボットの分野で強みを持っています。
しかし今、中国が型ロボットの分野で急成長しており、AIの発展と高度に結びついています。
台湾と日本が今後の発展においてより緊密に結びつくことがますます重要になっています。

失われた30年を経て、日本経済はバブル崩壊の痛みから回復し、徐々に正常な経済状態に戻り、競争力を回復しています。
昨年の8月5日に日本はゼロ金利を終了し、基本金利を0.25%に設定しました。10年国債も1.0%になりました。
日本は徐々に健康的な道を歩み始めています。

中国の10年国債利回りはかつて8%を超えていましたが、今では2%台にまで下がっています。
一方で日本はかつての低利率から戻りつつあり、30年国債利回りも初めて中国の国債利回りと交差しました。
日本はバブル経済の辛苦を乗り越え、そのバトンを中国に渡そうとしています。

現在、TSMCが熊本に工場を設立しています。
私は台湾と日本の協力がより強固なサプライチェーンを築くと信じています。
今後、台湾と日本は技術と人材を補完し合い、より大きな効果を生み出すはずです。
半導体の協力を深めていくことが重要です。
熊本はTSMCによって発展し、TSMCも日本での成長を通じてより広い発展の道を見いだせると考えています。

私の報告はここで締めくくらせていただきます。

 トランプ米大統領が4月2日、貿易相手国に対し相互関税を課すと発表し、台湾で当惑が広がっている。

国・地域別の関税率は日本が24%、欧州連合(EU)20%、英国10%に対し、台湾は32%。

トランプ政権が敵視する中国の34%に近い厳しい水準となった。

台湾の行政院(内閣)は3日、「非常に不合理で遺憾」とする報道官声明を発表した。


 ■解説

 台湾の対米貿易黒字は昨年83%急増し、対米輸出は1114億ドルと過去最高を記録した。

しかし報道官声明は、対米貿易黒字の拡大は米国の政策と需要に従った結果であると説明している。

まず第1次トランプ政権時の対中ハイテク規制により、中国で活動していた台湾企業が台湾に戻り、台湾から米国への供給が増えたと指摘。

さらに人工知能(AI)を中心に米企業の半導体関連の需要が増加しており、それが台湾の対米貿易黒字につながったとしている。

つまり、米国の政策に従い、さらに米国経済や安全保障に貢献しているのに、中国並みの追加関税はあんまりだ、というのが台湾側の思いだ。

 トランプ大統領は2日の演説で「台湾は半導体を米国から奪った」と主張したが、その半導体は今回、相互関税の対象から外れた。

台湾経済の一枚看板である半導体技術を米国製品で代替することが難しいためとみられる。

 頼清徳総統は「今回の関税措置には不合理な点がある」としながら報復措置には触れず、閣僚にアメリカとの交渉を継続するよう指示。

卓栄泰行政院長(首相)は相互関税で影響を受ける製造業や農業などに補助金を含む総額880億台湾ドル(約3900億円)の支援策を取ると表明した。

安全保障面で最大のよりどころである米国との関係を損なわないよう配慮しつつ、台湾経済へのダメージを防ごうと腐心している。


 中国軍は4月1、2日の2日間、台湾周辺で陸海空軍とロケット軍による大規模な統合演習を行った。

軍用機や艦船を台湾に接近させる「戦闘準備パトロール」やシーレーン(海上交通路)の封鎖、さらに東シナ海で実弾長距離射撃訓練を実施した。

中国の空母「山東」も演習に参加。

台湾の頼清徳総統が3月に中国を「境外敵対勢力」と断言したことに反発し、中国軍は「台湾独立勢力への厳重な警告と封じ込め」の演習と説明した。

演習を「海峡の雷-2025A」と名付けた。


 ■解説

 中国軍は昨年5月に頼氏が総統に就任した直後、台湾包囲演習「連合利剣-2024A」を実施。同年10月に「連合利剣-2024B」を行った。

これ以降は公式に発表しない演習を繰り返していたが、今回の大規模演習とその公表は頼氏への「怒り」を露わにした形だ。

 中国国営中央テレビは、実弾射撃訓練で台湾の重要施設を模したとみられる攻撃目標に命中した様子を放送した。

こうした公開は異例。

沿岸警備を担う中国海警局も演習に参加し、臨検、拿捕(だほ)の訓練をした。

台湾侵攻の際に船舶を台湾に近づかせない想定とみられる。中国軍は、頼氏の顔に似せた「寄生虫」が涙を流すアニメまで公開している。

 演習の実施は米国の出方も探っているとの見方もある。

トランプ政権は対中強硬派の閣僚が多いが、トランプ大統領自身の台湾政策は不透明なまま。

習近平政権は演習に対する米国の反応を見守っているのは確実だ。

 今回の演習名の末尾に「A」とあることから、昨年の演習と同じように年内に末尾を「B」とした演習を行う可能性が高い。

台湾周辺は中東の原油を日本に運ぶタンカーなど貨物船が頻繁に往来している。

台湾近海の緊張が高まれば日本と世界経済に悪影響が及ぶことになる。


 台湾外交部(外務省)は4月1日から、台北市の外交部庁舎玄関に日本や米国など12カ国の国旗を掲げ始めた。

中国からの圧力が強まる中、「理念の近い」国々との協調をアピールしている。


 ■解説

 国旗を掲げた12か国は、主要7カ国(G7)のほか韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド、フィリピン。

これまでは台湾と外交関係を持つバチカンなど12カ国の国旗だけを飾っていた。

 中国と台湾(中華民国)は長年、世界の国々と外交関係を結ぶ競争を繰り返してきたが、近年は中国マネーの力により、台湾と断交して中国と国交を結ぶ国が増えている。

台湾はその逆境下で、正式な外交関係がなくとも、自由と民主主義を共有する国々との協調を深める「価値観外交」を展開している。

 外交部の呉志中政務次長(次官)はフェイスブックに12か国の国旗掲揚について「理念の近い国家とともに、権威主義国家の脅威に対抗する我々の決意を示した」と投稿しており、日本や米国などが台湾に連帯することを期待している。


 中谷元・防衛相と外遊中のヘグセス米国防長官は3月30日、防衛省で会談した。

ヘグセス氏は在日米軍司令部(東京・横田)を作戦指揮権のある「統合司令部」へ格上げさせる計画を始めたと表明。

さらに台湾海峡の緊張を念頭に「中国共産党による武力行使を抑止する上で、日本は私達に不可欠なパートナーだ」と強調した。


 ■解説

 在日米軍の強化について米国側が「計画中止を検討している」という一部の米メディアの報道があったが、トランプ政権が予定通り計画を進める方針が明らかになった。

 中国の軍拡路線により米国との戦力差は縮小傾向にあり、トランプ政権は米国の優位が崩れつつあるとの懸念がある。

ヘグセス氏は会談で「西太平洋の有事に直面した場合、日本は前線に立ち、日米で支え合う状況」との認識を示した。

台湾有事などを見すえ、日本も中国に対抗する役割を担うことを求めている。


 日本政府は3月27日、台湾に近い沖縄県・先島諸島から約12万人が九州7県と山口県に避難する計画概要を発表した。

「特定の有事を想定していない」とするが、実際は中国が台湾に侵攻する「台湾有事」を念頭に置いている。


 ■解説

 日本最西端の与那国島は台湾から110キロと近い。

中国が2022年に台湾を包囲した大規模演習では、弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾している。

今回の避難計画は、日本への武力攻撃が予想される「武力攻撃予測事態」を政府が宣言した状況を想定。

先島諸島の宮古島市、石垣市、竹富町、与那国町、多良間村の5市町の人口11万人と観光客1万人について、旅客機やフェリー、バスなどを使って九州・山口へ1日2万人ずつ移動させ、6日間で避難を終える。

避難期間は1か月程度を想定している。

ただ、実際に武力攻撃の危険がある状態で、民間の航空機や船舶、バスがどこまで協力できるかは疑問。

12万人が宿泊するホテルの確保も難しく、「机上の空論」という批判が出ている。


 米国の情報機関を統轄する国家情報長官室は3月25日、世界の脅威に関する年次報告書を公表。

中国は2030年までに米国を「人工知能(AI)大国」の座から追い落とすことを国家戦略としていると指摘。

「台湾統一を巡って米国と軍事衝突が起きた場合に優位に立つため、軍事力の強化を進めている」と警戒感を示した。


 ■解説

 報告書はロシア、北朝鮮、イランにも触れているが、中国に対する懸念が全33ページの約3分の1を占めている。

中国は極超音速兵器、ステルス戦闘機、最新鋭潜水艦などの通常兵器の強化に加え、多面的な戦略を持っていると指摘。

インフラに対するサイバー攻撃や、大規模言語モデル(LLM=膨大なデータを学習して人間のように言葉を表現するAI)を使った偽ニュースの作成、攻撃的ネットワークの構築などを計画している可能性が高いとし、「最も能力の高い戦略的競争相手」と名指しして警戒感をあらわにしている。


 陸海空の3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が3月24日、防衛省内に約240人体制で発足した。

各部隊の統合運用を進め、米軍との連携をさらに深める狙いがある。


 ■解説

 これまでは、陸上自衛隊は東京の朝霞駐屯地、海上自衛隊は神奈川県の横須賀基地、航空自衛隊は東京の横田基地にそれぞれ司令部を置き、大規模災害などが起きた場合に臨時の統合部隊が編成されていた。

中国や北朝鮮との緊張が高まり、台湾有事も現実味を帯びる中、陸海空の3自衛隊を一体となって運用する司令部を常設する必要性が高まっていた。

米国側からも「日頃から連携する窓口がない」という不満が何度も伝えられていた。

 統合作戦司令部は陸海空各部隊の状況を常時把握するほか、宇宙やサイバー空間といった新領域の部隊も管轄し、切れ目のない防衛体制を構築する。

有事の際は部隊配備から作戦実行まで幅広く受け持ち、反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つ長射程ミサイルの運用も担う。

在日米軍は現在、ハワイに司令部を持つインド太平洋軍司令部から指揮を受けているが、在日米軍内に「統合軍司令部」を設ける計画。


 パナマ運河の両端にある港を管理する香港系企業が、港の運営権を売却する契約を先延ばししていると複数の香港メディアが伝えている。

トランプ米政権の圧力を受けた事業売却に不満を抱く中国が圧力を加えている可能性がある。


 ■解説

 パナマ運河両端の港は、香港の大富豪・李嘉誠氏が率いる「長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)」傘下の企業が運営。

トランプ米大統領は「パナマ運河を中国が支配している。

米国が取り戻す」と宣言し、軍事行動も辞さないとちらつかせた。

同社は傘下企業の株式を米資産運用大手ブラックロック(BlackRock)主導の共同事業体に売却すると決定したが、中国は官民を挙げて「中国人への裏切り行為」と激しく非難。契約を阻止しようとしている。

香港メディアによると、売却は先送りしているが中止とは決まっていないという。

 中国共産党の対外交流部門、中央対外連絡部の馬輝・副部長は3月14~15日に党代表団を率いてパナマを訪問。

主要政党指導者と交流し、「パナマと交流を強化したい」と表明した。

トランプ政権の圧力でパナマ政府が中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を決定しており、中国はパナマのつなぎ止めに懸命となっている。