4月13日、大阪・関西万博会場で台湾が民間企業「玉山デジタルテック」として出展したパビリオン「テックワールド(TECH WORLD)」がお披露目された。
外観は台湾の多様で豊かな自然と文化を象徴し、館内には「生命」「自然」「未来」の3つのテーマが設けられている。
クロスメディアによる没入型体験を通じ、「世界とつながり、未来の美しい生活を共に創る」という理念を来場者に伝えている。
今回の万博には世界150か国以上が参加し、2800万人を超える来場者が見込まれている。
しかし、博覧会国際事務局(BIE)に加盟していない台湾は「台湾館」の名称では参加できなかった。
台湾の存在感を高め、より多くの人々に台湾を知ってもらうため4月12、13両日、インド太平洋戦略シンクタンク(IPST)は、台湾の民間団体「黑熊学院」「486団購入ネットワーク」「台湾ホットニュース」などと連携し、大阪の台湾人コミュニティーの協力を得て大阪駅前で「台湾祭り」を開催した。
このイベントはテックワールドの開館記念イベントとしてだけでなく、「台湾は重要な国際舞台から降りることは決してない」という強いメッセージを発信した。
2日間にわたるイベントでは、テーマに沿った展示や記念品の配布、ミニゲームを通じて日本の市民との交流や写真撮影や交流が行われた。
台湾から来日した音楽家の呂輝格氏、歌手のクリフ(Cliff)氏は自作の楽曲を披露。
また、台湾政府国策顧問の陳天隆氏と謝美香氏、開南大学主任秘書の陳文甲氏、台北駐大阪経済文化弁事処副処長の劉拓氏、大阪府議の杉江友介氏、大阪市議の辻淳子氏も駆けつけ、各ブースで来場者と交流しながら台湾の魅力を伝えた。
大阪の台湾人コミュニティーのリーダーである陳天隆氏は、13日にメディア取材を受け、「台湾の人々の情熱・創意・行動力は、台湾祭りを通じて世界に『台湾は欠席しない、必ずそこにいる』ことを証明した。
台湾祭りは本日で幕を閉じるが、これは始まりにすぎない。日本在住の台湾人たちは引き続き世界に台湾の声を届けていく」と語った。
会場のボランティアからは「中国からの留学生がひそかに台湾祭りを訪れて『台湾頑張れ』と声をかけてくれた」「日本の市民から『台湾の重要性を再認識した』『台湾に行ってみたい』という声が寄せられた」というエピソードも明かされた。
黒熊学院の朱福銘執行長は「台湾祭りへの参加を通じて、台湾市民は自ら台湾を守る意識を重視していることを示した。
ブースには日本の市民が多くのメッセージを書き残し、そのほとんどが『台日友好』に関するものだった。今回の台湾祭り台日友好のテーマを伝える良い機会となり、多くの温かい反応が得られた」と手応えを語った。
台湾祭りは大阪・関西万博の重要なプレイベントであり、インド太平洋戦略シンクタンクはこの活動を通じて台湾と日本の政界、華僑社会、文化団体の力を結集し、台湾の民間外交の新たな一歩を踏み出した。
テックワールド館が台湾のテクノロジーの実力を示す一方、大阪駅前の「台湾祭り」は文化と民間交流の架け橋となり、自由な台湾の力強さと温かさを世界に伝えた。
台湾は万博という国際舞台で再び感動の物語を刻み、「民主台湾」及び民主主義陣営との理念をさらに強化した。
「インド太平洋戦略シンクタンク」(IPST)は3月28日に台北・圓山大飯店で「台日科学技術未来フォーラム」を開催しました。
半導体戦略、人工知能(AI)リスク、安全保障体制および地域協力をテーマとし、多くの著名有識者を招いて講演が行われました。
出席者には、日本の元経済産業相の甘利明氏、KDDI共同創業者の千本倖生氏、元陸上自衛隊陸上幕僚長の岩田清文氏、財信メディアグループ董事長の謝金河氏、台湾日本研究院理事長の李世暉氏らが名を連ね、科学技術と安全保障の激動する情勢の中で、台湾と日本がいかに戦略的連携を強化していくかを議論しました。
甘利明氏「日本と台湾は半導体協力を強化し、リスクのないAI世界を構築すべき」
自民党半導体戦略推進議員連盟の名誉会長も務める甘利明氏は「現在、世界はデジタルトランスフォーメーションとAIの波に直面する極めて重要な時期にあり、その中心にあるのが半導体である」と明言。
「AIチップの設計においては米国が主導的立場にあるものの、台湾企業のTSMC(台湾積体電路製造)は世界最先端の半導体製造(ファウンドリ)技術を有しており、技術と製造の両面で相互依存が生まれている」と述べました。
また、米国の労働制度では台湾企業のような効率性を実現することは難しく、特に最先端の半導体チップが単一の供給網に集中するとリスクが著しく高まると指摘しました。
こうしたリスク分散回避の必要性から、「日本は近年、半導体製造会社ラピダスを設立し、TSMCと『二重の保険』となるような協力体制を築き、安定したサプライチェーンの構築を目指している」と説明しました。
さらに甘利氏は、中国が生成系AIに必要なデータを包括的に収集している現状に対して警鐘を鳴らし、日本と台湾が連携して「リスクのないAI世界」を築き、民主的なテクノロジーの価値を共に守るべきだと強く呼びかけました。
自衛隊が統合作戦司令部を新設 岩田清文氏「台湾有事に迅速対応が可能に」
安全保障協力もまた本フォーラムの重要なテーマです。
日本の防衛省は3月24日、陸・海・空自衛隊の統合運用を目的とする「統合作戦司令部」を新設しました。
初代の統合作戦司令官には、元統合幕僚副長の南雲憲一郎氏が任命され、これまで統合幕僚長が一手に担っていた各自衛隊の統一指揮の負担を分担する体制が構築されました。
元陸上自衛隊陸上幕僚長の岩田清文氏は、この改革がもたらす二つの重要な意義を説明しました。
第一に、役割分担が明確となり、各部隊の共同行動が円滑になることで、自衛隊の作戦指揮が一層効率的になること。
第二に、統合作戦司令官が米インド太平洋軍司令部と直接連携を取ることで、日米の共同作戦の調整が確保される点です。
岩田氏は「台湾での戦争は望ましくない」としつつも、万一情勢が急変した場合には、新たな指揮体制により迅速な対応が可能となり、地域の安全保障に挑戦が生じた際にも即座に必要な措置を講じることができると強調しました。
KDDI共同創業者・千本倖生氏 「独裁国家は最終的に失敗し、日米台韓が輝く」
KDDIの共同創業者である千本倖生氏は「産業と文明の発展」という観点から講演を行い、「高度なハイテク産業が持続的に発展するためには、民主主義国家こそがその土壌となり得る」と強調しました。
千本氏は「テクノロジーの革新がAIや電気自動車産業に大きな変革をもたらしている中で、台湾は世界のハイテクサプライチェーンにおいて極めて重要な役割を果たしている」と評価。
日本企業は台湾の効率性と柔軟性から深く学ぶべきだと述べました。
また、「独裁政権は長期的に見てイノベーションの活力を維持できず、いずれ失敗する運命にある」と指摘。
台湾、日本、アメリカ、韓国といった民主主義のパートナー国家だけが、世界の先端を輝かせる新たなテクノロジーの時代を100年後まで共に切り拓くことができると力強く語りました。
謝金河氏「台日のサプライチェーン協力で中国の不当な干渉と浸透に対抗」
財信メディアグループ董事長の謝金河氏は、台湾社会における「内部リスク」の存在を指摘しました。
特に、TSMCが米国へ進出することに対して一部で悲観的な見方が広がり、世論を誤った方向に誘導していると警鐘を鳴らしました。
謝氏は、TSMCが中国企業のファーウェイ(華為)への供給を拒否し、米国企業のエヌビディア(NVIDIA)の先端チップ出荷を厳格に管理している事例を挙げ、TSMCが「技術と国防の安全保障に対して高度な責任感を持って行動している」と評価しました。
さらに、台湾と日本の間には強固なサプライチェーン協力の基盤があり、互いの信頼と技術の統合を通じて産業のレジリエンス(耐久性)を高めるだけでなく、中国からの不当な干渉や情報浸透工作への対抗力を強化し、民主主義陣営の経済的自立を維持するうえでも重要な意義があると強調しました。
台湾日本研究院理事長の李世暉氏は、世界は現在「チェーンパワー」を中核とする新たな国際戦略秩序へと移行しており、台湾と日本はその重要な交差点に位置していると指摘しました。
李氏は、「チェーンパワー」とは三つの連携から構成されていると説明。
中国が軍事的ラインとする第一列島線(九州沖から沖縄、台湾、フィリピンを結び南シナ海に至るライン)に位置して安全保障を担う「アイランドチェーン」、半導体とAI技術を供給する「ハイテクサプライチェーン」、そして民主主義の価値観を共有する「民主主義チェーン」を挙げ、「東アジアの将来はこの三つのチェーンによって大きく左右される」と強調しました。
李氏はまた、賴清德総統が昨年の就任演説で述べた「三つの連携」と「五つの信頼産業」が、自身の提唱する「チェーンパワー」の概念と高度に一致しているとも述べました。
「五つの信頼産業」とは半導体、AI、防衛産業、セキュリティ管理、次世代通信を指し、台湾の戦略的自立を維持するための中核的な支柱であると述べました。
さらに李氏は、トランプ政権が1980年代のアメリカの主要産業を再興しようとしている政策や、米中対立に起因する技術規格の競争などが、台湾と日本を地政学的に強く結びつけていると述べました。
たとえば、TSMCの日本およびアメリカへの投資の優先順位は、二国間の半導体協力の深さと方向性に直接影響を与えると分析しています。
李氏は、台湾と日本がより一層協力し、サプライチェーンの再構築や技術秩序の再編といった課題に共同で対応していくべきだと呼びかけました。

甘利明でございます。ようこそ、お越しいただきました。
私が九州の熊本を訪れますと、一番尋ねられるのが「TSMC(台湾積体電路製造)は第3番目の工場をいつ着工するんですか?」という質問です。TSMCにその質問をぶつけると、返ってくる答えは一つです。「お客さんが見つかり次第です」と。
北の果て(日本)では、ラピダスがTSMCに追いつくため半導体の製造工場を作っています。ラピダスの話が出ますと、半導体の関係メディアから「お客も見つからないのに、ラピダスを作って大丈夫ですか?」という質問が来ます。
今、世の中はDX、デジタルトランスフォーメーション。つまり、アナログ社会がデジタル社会に歴史的に転換していく時なのです。デジタルトランスフォーメーションというのは、社会全体がデジタルで動く、社会全体がデータで制御される。そういう世界に全く変わっていくということです。世界中の工場がデータを集めて、そのデータに基づいて日々改善が行われ、そのデータに基づいて新しい動きが始まっていく。データ駆動型の産業に変わっていくわけです。
つまり、あらゆる産業が半導体で駆動されるわけです。私の地元の市役所も生成AIを導入しました。これからは人間がやっている窓口処理は、すべてAIがよりスピーディーに、より正確にやってくれるわけです。産業界だけじゃなくて、医療の世界も半導体が入ってきます。東京にいる名医が、500キロ離れた離島の患者を手術できる時代も間もなくやってきます。
今までは半導体は電化製品を動かすだけの役割でした。これからの半導体は、社会のすべてをオペレートしていく役割に変わるのです。TSMCの第3工場は「お客が見つかったら」着工し、ラピダスは「お客さんは本当にいるんですか?」と言われますが、これからの世界は「半導体のお客さんしかいない」世界に変わっていくのです。
米国のアリゾナにやっとTSMCのハイエンドの工場ができます。そこの生産の歩留まりは、どうやら台湾本社よりも高くなるらしいという話が入りました。そんなはずがない。なぜそんなことができる? それは、1300人の関係オペレーターを全員、台湾からそっくりアリゾナに持っていくから、という回答でありました。台湾人だけでアリゾナの工場を動かしていたら、トランプ大統領は必ず「アメリカ人を雇え、生産ラインは全部アメリカ人に変えろ」と要求してくるはずです。しかしアメリカ人に変えた途端、生産は止まります(会場笑い)。
ラピダスはハイエンドを作って、TSMCに追いついて、一緒に新しい時代を築こうと考えています。そのための人材は、かつての日本のトップ100人の技術者を世界中から呼び戻して、さらに、IBMのニューヨーク・アルバニーの研究所で半年間、一年、特訓をして、初めて使いものになるのです。アリゾナ大学は、アメリカ一の半導体の大学だそうです。TSMCはアリゾナ大学とコラボレーションをして、人材を一生懸命育成していく。おそらく、エンジニアやテクニシャンは、ある程度できるかもしれませんが、ラインを動かす作業員はどうするのでしょうか。アメリカの製造ラインの作業に携わる方々、一生懸命やっているのは分かりますけれども、金曜になると、昼から時間が気になります。もう帰らなくちゃ。5時になった。まだ自分の仕事を片付けなければ、区切りはつかない。いやいや、5時だから、さようならってみんな帰ります。自動車のラインはそれでも動くかもしれません。しかし、ハイエンドの半導体のラインは、それでは絶対動かないのです。
私はTSMCの工場のオペレーションを勉強するたびに圧倒されます。本当にこの企業に追いつくことができるのだろうかという思いにさいなまれます。いま、ハイエンドの製造ラインはTSMCしか動かせないのが現状です。インテルも7nmから5nmに入ったあたりで、TSMCにはついていけなくなりました。サムソンもおそらく5nmまでです。それより先は、TSMCについていけません。2nmから1.4nm、そして、最先端のAI半導体に、製造が進化をしていきます。TSMC以外に、これができる企業が世界中に一体あるのか。
TSMCは台湾の誇りであり、安全保障の要かもしれません。しかし、考えてください。半導体を設計する会社は今はNVIDIAですけれども、ブロードコムとか、あるいはGAFAM(Google、Apple、Facebook=現Meta、Amazon、Microsoft)の設計部隊とか、NVIDIA一強から崩れていきます。今までは上流がサプライチェーンを支配してきました。具体的に言えば、NVIDIAがサプライチェーンを支配し、NVIDIAの利益率は80%です。8割が利益。これ、反則じゃないですか。
設計・開発する会社はどんどん増えていくでしょう。でも、それを作れる会社が、ファウンドリーが一社しかないとしたら? サプライチェーンは上流が支配する世界から、実は下流が支配する世界に変わっていきます。これから設計をする世界は、特定の産業界専用のAI、特定の企業専用のAIと、カスタマイズが進んでいきます。カスタマイズ化がどんどん進んでいく中で、たった一社しか受けることができない。しかし、世界のカスタマイズを一社で受けることが不可能です。ということは、これがDX社会の世界の最大のリスクになっていくわけです。
だとしたら、TSMCと共同して、それとほぼ同じか、それに近い技術力を持ってカスタマイズを受けられる会社、ハイエンドを受けられるファウンドリーは二社ないと、世界全体のリスクになってしまいます。我々がラピダスを創設したのは、世界のDXを支えていくファウンドリーとして、TSMCとラピダスがいることによって、サプライチェーンが安定をし、世界のリスクが減少し、そして、自由と民主主義と法の支配、これを基本的な理念とするチームが、世界を安定する基盤となっていくからです。
トランプ大統領は、主な製造業はアメリカの国内で、サプライチェーンを完結させたいと思っています。なぜ、世界は貿易を振興してきたのか。そして、貿易の取扱量が増えるのと一緒に、なぜ世界のGDPは伸びてきたのか。その理由は、一番品質が良くて、安いものを組み合わせてものが作れる。これが貿易だからです。アメリカの中で全てを完結させるという考え方は、実はアメリカ人は一番安くて品質の良いもの、その集合体としての製品を使えなくなる。つまり、損な買い物をするということになります。
トランプ大統領は、宇宙政策とAI政策を一番大事な柱にしたいと言われています。ハイエンドの半導体、なかんずくAI半導体がなければ、AIは動きませんし、ロケットも飛びませんし、ミサイルの制御もできません。その半導体は数百の企業が集まり、数千の工程を経てできあがる製品です。一つの国の中で、この数百社、数千工程の生産物を作り上げるということは、全く不可能です。アメリカは設計・開発が得意です。そして、製造ラインを作る製造機器は、アメリカと日本とオランダで世界の8割以上を占めています。材料は日本が55%、そしてハイエンドの最も最先端のロジック半導体の94%は、台湾が作っています。得意な者同士がコラボしてサプライチェーンを形成しないと、いい製品はできない。そのことをどうトランプ大統領に理解をさせるか、ということが、この半導体の世界の一番の課題です。
アメリカは得意な設計を、そして日本は得意な製造装置と、得意な材料の貢献をしていく。そして製造現場はTSMCや日本がサプライチェーンを形成して、いい製品を作っていく。半導体の製造工程は、どんどん厳しくなっていく。どうやってベストなコラボを、そして情報漏洩や政治流用されない安定的なサプライチェーンをどうやって作っていくかというのが現代の課題です。
半導体の世界で、二つの大きな変化が起きています。一つは、上流がサプライチェーンを支配するのが、実は下流がサプライチェーンを支配する時代がやってくるということ。そして、これからを支配する製造のファウンドリーの世界でも、大きな変化が起きています。今までは付加価値は前工程が作りました。つまり、微細な加工をどれだけ早く正確にできるかが付加価値の勝負でありました。しかし、そういった進化の法則、ムーアの法則(半導体集積回路の集積率が18か月で2倍になるという経験則)が、急激にスピードを落としています。10Nmから5Nmに行くスピードはムーアの法則かもしれませんが、3nmが2nm、2nmが1.4nmになるスピードはドーンと落ちていきます。それだけ、技術開発は難しくなっていくということです。
しかし、これからは後工程、いわゆるパッケージング、3D積層、今まで平面につないでいったのを立体につないでいくとか、あるいはチップレット、機能の異なる半導体を組み合わせて優れたチップを作る。つまり、後工程が付加価値を高めていくという時代に入っていきます。ここは日本の得意分野です。そういった中で、日台がどうコラボしていくか、一番
世界にとって貢献していく、世界の安定と発展に貢献していくというコラボの仕方を見つけていかなければなりません。
当面、AI半導体のサーバーであるとか、あるいはデータセンターが圧倒的に足りなくなります。台湾はおそらく電力がもう目一杯だと思います。そこで日本も目一杯なんですが、稼働予定の原発がたくさん控えています。例えば中部電力の浜岡原発、新潟の柏崎刈場原発、あるいは北海道の泊原発とか、これらが動き出しますと、かなりの余裕は出てきます。そこで台湾と連動して、必要なAI用のデータセンターをつくるというのも協力の一つにはなるかと思います。
最後に1点。いま、生成AIで過烈な競争が起きています。オープンAIのChatGTP、そしてオープンAIのチームから離脱したチームがつくっているAI。そしてGoogleが参戦しているGemini、あるいはイーロン・マスクのX、ザッカーバーグのメタが参戦しています。つまり、時価総額が100兆、200兆円の企業が潰し合いをしているわけです。
間隙をついて業績を伸ばしているのが、中国のディープシークです。中国は何をしようとしているかというと、ディープシークを世界のみんなが使うインフラにしようとしているわけです。中国は政権の言うことを聞かないインターネットをやめて、自分らで制御ができる第二インターネットをつくろうという提案をして、却下された過去があります。ディープシークとChatGDPなどのアメリカ勢を比べてみましょう。使用料はディープシークの方がはるかに安いです。もう一つ、生成AIを使ってデータを入れて出てきた成果についての使用権は、ディープシークは「どうぞ、お使いになっている人の自由です」。しかし、他のアメリカ勢は使用料が高いし、生成結果についての使用権は自分にあるから「あなたが使いたかったら使用料を払え」というのが現状です。
使用料がはるかに安くて、出てきた成果の使用権を使っているユーザーに与えてくれる、そっちがいいに決まっています。そうすると、その使用者がどんどん増えていきます。データは全部中国に行きます。しかも、企業や研究者がディープシークに対していろいろと指示を出す、質問をする。企業や研究者にしてみれば、自分が何を開発することを目指して、いろいろな投げかけを生成AIにするわけであります。そうすると、ディープシークの方では、この研究者・企業が、どういう開発を、どういう発明を目指してやっているのかが推測できます。そうすると、研究の先取りもできるわけです。ディープシークが世界のインフラになった瞬間に、すべての国は生殺与奪権を中国に握られます。なんとかみんなで、リスクのない生成AIをつくるために、連帯をしていきたいと思います。
ご清聴ありがとうございます。

皆さんこんにちは、千本です。
だいたい私は月に2、3回は海外出張に行きます。最近は世界最大のモバイルのカンファレンス、MWC(モバイル・ワールド・コングレス)が行われたスペインのバルセロナに行ってきました。MWCは20年くらい続いており、大体10万人くらい集まります。
毎年、ハイテクのカンファレンスは世界に2つあって、1つはアメリカのCES。それが1月にあって3月はモバイルに関するカンファレンス、MWCがスペインであります。どっちも10万人くらい集まります。日本のNTTとかKDDIとかソフトバンクなど、世界中の社長らが集まる。モビリティ、モバイルがどういう形で世界に展開するか、そこに行くと、各社が最新の技術をこぞって出すんですね。
私は一昨年、そのカンファレンスに行って、すごく驚いた。何を驚いたかと言ったら、一社のブースでも(手を大きく広げて)最低これくらいあるんですね。そこに中国のBYDがありました。BYDはもともと中国で安い携帯を売っていた。私はKDDIを創業したということもあって。携帯がどういうふうに変わっていくか、すごく関心があった。そのBYDがどんな新しい携帯を出すのか?と思ったら、最新のかっこいいEV(電気自動車)を出していたんです。携帯の会社がEVを出すのか?とショックを受けました。
そして、世界のEVでBYDがテスラを追い越しちゃった。たった2年で、携帯の会社がEVを作って、あのイーロン・マスクが開発したテスラを追い越しちゃう。世界のハイテク、特にAI、半導体の領域の速さはわずか1、2年で変わる。もちろん、その後ろには開発にすごい時間がかけているんですよ。だけど、2年で(携帯会社のBYDが)EV業界のトップになるような時代になってきた。ものすごい速いスピードで、世界は変わっているということを実感したんですよね。AI時代の非常に大きな特徴です。
AI、半導体という領域において、今日来て下さった甘利先生という1人の政治家が日本にいなかったら、半導体の世界でもっとひどい状態になったと思います。
今、AI革命の時代のまっただ中に我々はいます。考えてみると、今から300年前に産業革命が起こって、日本、世界、全部含めて、エネルギーであらゆる産業を作る工業社会になった。工業社会の中で基本的に全てのコア、エレメントになったのは、石油だった。ですから、石油を支配する国が世界を支配する。アメリカはすごい石油生産国ですよね。イギリスは北海の石油、サウジアラビア、そういったところが世界を支配した。石油メーカーであればロイヤル・ダッシュ・シェルとかエクソンとか石油に関わる産業が、世界を基本的に支配してきた。
でも、その大きな流れがここ数年、決定的に変わってきた。工業化社会からAI社会に変わってきた。AI社会の真っただ中で、皆さんの生活もこれからAIでコントロールされ、おそらくAIの技術は人間の頭脳を超える。これは時間の問題だと思います。もちろん、AIでできない領域っていっぱいまだあるけれども。このAI社会を決定的に支えているものは何か? 石油ではなく、最大の基本要素は半導体です。これからは半導体を制するのが、世界を制する。
半導体の歴史は皆さんご承知だと思います。1990年ぐらいまでは日本が世界のトップで、NEC、東芝、富士通とかが世界を制覇していた。
その日本が日米半導体交渉とかの経緯があって、アメリカに徹底的にやられて。日本の半導体産業は壊滅的な状況になった。現在では半導体企業のトップ10を見ても、日本は全くない。代わって後ろにのし上がってきたのはアメリカで。インテルとかTIとかが半導体の覇権を握ったわけです。
その後、アメリカに代わって世界を制覇したのが韓国です。サムソン創業者の李健熙(イ・ゴンヒ)さんは私の同い年ですけれども、彼が日本に学びに来て、それで作ったのがサムソン・エレクトロニクスで、世界最大の半導体メーカーになった。けれども、サムソンがここ数年、少し落ちてきた。それに代わったのが、皆さんご承知の台湾のTSMCですよね。
TSMCというのは、たった一人の人が作った。ご承知の通り、モーリス・チャン(張忠謀)という人です。
日本の半導体は2000年まではトップであって、日本が絶対、世界でトップであり続けると思っていた。モーリス・チャンはもともと(米国の)TIにいたんですけども、テキサスから台湾に戻って、TSMCをゼロから作った。リスクを取って、巨大な投資をしたんです。
その時に投資は富士通もNECも何もやらなかった。将来に不安があるのに、投資できるかと。その間にTSMCが世界のトップの半導体会社になった。
台湾はそういう意味で、これから世界をコントロールするリーディング・カントリーになるんですよね。台湾という国は、ちょっと前までは日本人にとっていい国だった。いい友達だった。だけれども、日本人の多くは、台湾というのは中国に海峡を挟んでいつも脅かされ、非常に不安定な国というか、エリアと見ていた。台湾は国連で国として認められてないですよね。仲がいいけれども国としてはどうかなと思っていたんだけれども、ここ数年、台湾の存在は大事になってきた。先ほど言ったように、これからの世界は半導体によって支配される。これからの20年、30年を考えると、台湾という国が世界の中で最も大事な、日本にとって最も大事な戦略的な国家になってきた。
台湾という国は、もともと日本にとって非常にフレンドリーな国です。私は台湾でAI半導体の最大の大学で教授をやっているものですから、よく来ます。台湾の人たちは日本に対して非常にフレンドリーですよね。台湾にとっておそらく、日本は最大の友好国だというふうに、私は感じています。
TSMCは今も最高のものを開発しています。同時に、その半導体産業を支える測定機だとか製造機というのは日本にあるんですよね。東京エレクトロンとかが、台湾の半導体産業を支えているわけです。
そういう意味で、日本は台湾に必要なパートナーです。まず、日本と台湾は近いですよね。福岡からわずか2時間ぐらいです。福岡から札幌に行くより、台湾に行く方が近い。それから、もう一つ大事なことは、やっぱり、どちらも民主主義国家であるということです。今、習近平主席の中国があり、プーチンのロシアという国がある。非常に短期的には、すごく効率のいい経営をしていると思うけれども、100年後の世界がどうなるか考えたら。独裁国家が歴史で勝ったことはないんですよね。だから、民主主義国家というのは効率が悪いかもしれないけれども、やっぱり民主主義国家でハイテク産業をきっちり開発していく。そういう国々がいずれ勝つんです。ですから、これから100年をにらんで世界を引っ張っていく国って、やっぱり台湾であり、日本であり、それからアメリカであり、おそらく韓国だろう。
と思いますよね。この4つの国に共通しているのは、ハイテクに対してすごい関心がある。人々がすごく熱心だ。それから、かつ、民主主義国家である。共通しているわけですよ。そういう意味では、私が個人的な見方で、この4つの国が世界を引っ張っていくだろう。
私はKDDIとか全部卒業して、今は京都大学の大学院で教えています。台湾ではAIや半導体に関してダントツの大学、NYCU(国立陽明交通大学)で講義をしています。日本の学生、台湾の学生たちに「台湾の重要性をもっと認識して」と言っています。台湾の学生には「台湾というのは将来を握る重要な国の一つなんだ。もっと自信持ちなさい」と。私の観測では絶対、習近平主席が台湾を襲うことはない。習近平さんというのは、独裁政権に戻ろうとしていますけれども、そんなに馬鹿じゃないと思うんですよね(会場笑い)。やっぱり、大きなグレーター・チャイナとしての台湾という位置づけをちゃんと見ているはずで。台湾が世界の宝を持っているんですよ。最高の宝を持っているんですよ。その宝を持って攻撃することによって、グレーター・チャイナを壊すということを、習近平さんは絶対考えないと僕は思います。
私は毎月2、3回海外に行って、アメリカやヨーロッパ、アフリカ、アジアに行ったりして、世界のトップにも会います。例えばNVIDIAの創業者は私の友人なんで議論するんですが、そういう時に台湾の重要性をみんなに説いてまわっています。だから、僕は台湾のNYCUの大学院生たちに「皆さんは素晴らしい国の素晴らしい時代に生まれてきたんだ。 この台湾にもっと誇りを持ちなさい。台湾自身をもっと信頼しなさい。台湾の将来というのは、皆さん方が握っているんだ」と言っています。
これからの100年を握る国、リーディング・カントリーンとしての台湾。ずっと世界を見てきた経営トップの人間がそう言ってるんですから、台湾の皆さん方、ぜひとも、小さな雑論なんかには惑わされずに、20年先、30年先、将来に対して果敢に挑んでもらいたいと思います。
台湾は素晴らしい。私は台湾大好き。台湾の成長をすごく見守っている。でも、ちょっと気になっていることがある。TSMCによく行ってこの頃感じるのは、皆さんTSMCに入りたがっている。若い人たちもTSMCに入りたがっている。その学生の態度は、かってのモーリス・チャンとは全然違うんですよ。30年前の日本と同じで、リスク取らない、いい会社に入りたい。給料3倍もらいたいという考え。そうなると、日本が30年前に犯した失敗に今、台湾は直面していると思います。これから来る10年、20年、30年、50年の未来というのは、待っていても決して新しい未来は来ません。未来というのは、我々がリスクを取って、新しい局面を作り出すことによって、来るんです。是非とも、台湾の若い人たち、ここにいる皆さんたち、日本と一緒になって、アメリカと一緒になって。是非とも、50年、100年先を見て、リスクを取って、今やるべきことを続けてださい。必ず新しい世界が、皆さんの手で出来上がることになることを確信しています。
どうもありがとうございました。
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皆様こんにちは。私は政治大学の李世暉と申します。現在、台湾日本研究院の理事長を務めております。政治大学は今年、世界初の「安倍晋三研究センター」を設立することになりました。ここで発表する機会を得て、大変光栄に思っております。
本日のテーマは、米中が半導体を中心に対立している中、新しい国際政治概念「チェーンパワー」について話します。この概念は特に東アジア地域において、台湾を中心とした特異な位置づけを浮き彫りにし、日本も含まれています。
チェーンパワーは以下の三つの面から理解できます:
- 列島チェーン(安全チェーン):安全保障問題の構築に関係し、特に第一島線(日本から台湾、フィリピン、インドネシアまでの中国に対する防衛ライン)の安全性を含みます。
- 供給チェーン(技術チェーン):特に半導体供給チェーンの安定性は各国の技術発展にとって非常に重要です。
- 民主チェーン(価値観チェーン):各国の民主的な価値の連携が注目され、共通のグローバルガバナンスの観念を形成する上で重要な役割を果たします。
チェーンパワーにおける2人の重要な国際指導者の発言を引用し、この概念の重要性を強調したいと思います。
- 賴清德総統の就任演説:賴総統は昨年5月20日の演説において、世界に於いて台湾の役割が非常に重要である旨を述べました。特に、三大チェーンと五大信頼産業(台湾の経済発展と国際競争力強化のため指定した産業分野)を挙げており、これらはチェーンパワーの概念と高く一致しています。五大信頼産業は半導体、人工知能(AI)、軍事、セキュリティー、次世代通信を指します。
- トランプ米大統領の産業政策:「アメリカを再び偉大にする」というトランプ政権の主張は、一方的な政策によりアメリカの経済構造を再編成し、東アジア諸国に大きな影響を与えています。
トランプ氏の政策の中で、台湾が特に関心を持っているのは次の通りです。
- 外交政策:これはアジア情勢、特に中国との関係に対するアメリカの対応に関わり、民主チェーンの概念と重なります。
- 安全保障政策:トランプ氏は利益重視の一方的な政策を採るため、台湾はアメリカの支持を得るためにより高いコストを強いられる可能性があり、これが列島チェーンの問題に関連しています。
- 貿易および産業政策:トランプ氏の「アメリカファースト」政策により、台湾は新たな経済環境に適応する必要があります。
最後に日米関係と台米関係から半導体発展の未来を見ていきます。以下の点が重要です:
日米関係:友好的な関係が維持されるなら、台湾積体電路製造(TSMC)は日本での投資を拡大するでしょう。逆に関係が緊張すれば、TSMCは工場を建設している米アリゾナでの投資を加速する選択をするかもしれません。
台米関係:TSMCは今年3月にアメリカへの投資を1000億ドル(約15兆円)追加し、合計1650億ドルに増額することを発表しました。この投資は台湾の半導体産業に大きな影響を与えるとともに、日本の半導体産業にも影響を及ぼします。具体的にはTSMCの日本への投資が変化するか、または日本の半導体設備や材料がアメリカに移転するのかという問題が浮上します。これらの要因は、今後台湾と日本が半導体協力を行う際の新たな変数となるでしょう。
この重要なテーマについて今後とも皆様と交流し、協力できることを楽しみにしております。ご静聴ありがとうございます。