中国軍が台湾周辺で大規模演習 台湾への攻撃を鮮明

公開日:2025年4月1日

 中国軍は4月1、2日の2日間、台湾周辺で陸海空軍とロケット軍による大規模な統合演習を行った。

軍用機や艦船を台湾に接近させる「戦闘準備パトロール」やシーレーン(海上交通路)の封鎖、さらに東シナ海で実弾長距離射撃訓練を実施した。

中国の空母「山東」も演習に参加。

台湾の頼清徳総統が3月に中国を「境外敵対勢力」と断言したことに反発し、中国軍は「台湾独立勢力への厳重な警告と封じ込め」の演習と説明した。

演習を「海峡の雷-2025A」と名付けた。


 ■解説

 中国軍は昨年5月に頼氏が総統に就任した直後、台湾包囲演習「連合利剣-2024A」を実施。同年10月に「連合利剣-2024B」を行った。

これ以降は公式に発表しない演習を繰り返していたが、今回の大規模演習とその公表は頼氏への「怒り」を露わにした形だ。

 中国国営中央テレビは、実弾射撃訓練で台湾の重要施設を模したとみられる攻撃目標に命中した様子を放送した。

こうした公開は異例。

沿岸警備を担う中国海警局も演習に参加し、臨検、拿捕(だほ)の訓練をした。

台湾侵攻の際に船舶を台湾に近づかせない想定とみられる。中国軍は、頼氏の顔に似せた「寄生虫」が涙を流すアニメまで公開している。

 演習の実施は米国の出方も探っているとの見方もある。

トランプ政権は対中強硬派の閣僚が多いが、トランプ大統領自身の台湾政策は不透明なまま。

習近平政権は演習に対する米国の反応を見守っているのは確実だ。

 今回の演習名の末尾に「A」とあることから、昨年の演習と同じように年内に末尾を「B」とした演習を行う可能性が高い。

台湾周辺は中東の原油を日本に運ぶタンカーなど貨物船が頻繁に往来している。

台湾近海の緊張が高まれば日本と世界経済に悪影響が及ぶことになる。