元自衛官トップが異例の台湾内閣顧問に 公開日:2025年3月21日 自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた岩崎茂氏(72)が台湾行政院(内閣)の政務顧問に任命されたことが分かった。複数の日本メディアが3月21日に報じた。 岩崎氏は航空自衛隊で戦闘機パイロットを務め、2010年から空自トップの航空幕僚長となり、12~14年に空自出身者で唯一、統合幕僚長を務めた。 行政院の政務顧問は無報酬で提言を行う非常勤ポストで、名簿は非公開。報道によると、岩崎氏の任期は1年という。 ■解説 日本人の政務顧問就任が明らかになったのは、昨年8月に任命された台南市在住の実業家、野崎孝男氏に続いて2人目。外国人の任命自体が珍しく、自衛隊幹部経験者の登用は極めて異例だ。これまで自衛隊OBが民間人の立場で台湾側とコンタクトを取るケースはあり、岩崎氏も昨年5月の頼清徳総統の就任式に統合幕僚長経験者として初めて参加した。 自衛隊は近年、米国以外の各国との共同訓練が増えているが、台湾を不可分の領土とする中国の反発を避けるため、台湾軍との共同訓練などはしていない。中国から軍事的圧力を受け続ける民進党の頼清徳政権は岩崎氏の登用を通じて、従来の経済分野だけなく安全保障分野で日本との連携を模索する考えとみられる。 中国外務省の毛寧報道局長は、岩崎氏の顧問起用を巡り「日本は台湾問題で言動を慎むべきだ」と反発。日本の林芳正官房長官は「公職を退いた一私人の活動について政府がコメントする立場にない」としている。