台湾国防部が新防衛戦略 中国軍「演習から侵攻」を警戒

公開日:2025年3月19日

 台湾国防部(国防省)は3月19日、立法院(国会)で4年ぶりに見直した防衛戦略を説明した。

中国が武力行使に当たるか判断が難しい「グレーゾーン」の行動を繰り返し、台湾軍の対応能力を試していると指摘。

中国軍が演習と見せかけて侵攻作戦に移行する可能性に言及した。


 ■解説

 中国軍が台湾に武力侵攻する場合、空と海から台湾を包囲し、米軍の介入を阻止した上で台湾をミサイルなどで攻撃し、大量の兵士を送り込むことが想定される。

中国軍は昨年5月の頼清徳政権誕生後、台湾を包囲する軍事演習を繰り返しており、台湾側が「威圧慣れ」した際に実際の侵攻が行われる可能性がある。

その際は航空機や船舶の接近を阻止して物資を枯渇させると同時に、通信の遮断も図ると考えられる。

今年1月と2月、中国人が乗った貨物船が台湾海域の海底通信ケーブルを切断する問題が発生。船側は「事故」と主張しているが、ケーブル切断の影響の度合いと台湾側の対応力を試す「グレーゾーン戦術」と見る向きは多い。

 香港紙は、中国の国有系企業が「世界で最も強固な海底通信線や電力線」でも切断できる海底ケーブル切断装置を開発したと報じている。

台湾国防部は今回の防衛戦略で、即応能力を強化する方針を示している。